ピアノランドとの出会い その2

楽器店めぐり

そこで娘が喜びそうなテキストを探す楽器店めぐりがはじまった。
バイエルだけでもかなりの種類のテキストが出ていた。
メトードローズなどは私が習った時と全く同じ状態で並んでいた。
旧態依然としたテキストと、全く見た事のない膨大な数の導入用のテキストが並ぶ。
私が小さいころこんなに種類があっただろうか?
つぎつぎ手にとって見ては棚に戻しを繰り返すうちに、
ふとカラフルな色の赤いテキストに眼が止まる。
ミドルCで始まり、かわいい挿絵が大きく絵本のようで、音符も見やすく歌詞と連弾譜までついている。

「これはひょっとして使えるかも・・?」

ピアノの前でこの本を前にして、娘にどう声をかけて弾いていこうか、頭の中でシュミレーションした。
手の説明も、音の増え方も、挿絵も歌も、どこをとっても魅力的だった。
でも結局その日はこの本を買わなかった。すごく心惹かれたのに。
ひょっとして絵のかわいさだけで買わせようとしているテキストで、
ホントは使えないものだったらどうしよう と用心する気持ちが働いたのだ。
もうちょっと探したら他にもあるかもしれないと思い、棚に戻して他のものをまた物色しだした。
その日は何も買わなかったが棚中のほとんどの導入本を手に取ったはずだ。

はやく決めないとレッスンが始められない。
娘のための最初の1冊を選ぶ為、それからまた何回かテキスト選びに店へ通う日が続いた。
ほかにも挿絵のついたテキストは沢山あったが、
外国の絵の描きかたが馴染まなかったり、進み方が納得できなかったり、
またそのたびに「ドーナツのついた赤い本」を手にとってしまう。
ふと思った。
「こんなに気になるんだったら、試しに買ってみよう。
全部弾いてみて使ってみて、やりにくければまた代えたらいい。
私の気に入ってる最初の導入だけでも娘に使ってみて、
一緒に遊んでみよう」と思え、その日にやっと買って帰った。


今になって思えばえらく用心したもんだと思う。
娘との楽しい時間を実現する為に、音楽好きになってもらうために、
テキスト選びで失敗したくないとの想いが相当強かったのだろう。


  
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